太陽光の戦略・大成功
太陽光の戦略・大成功
人間自身にとって,原生的自然を系として環境内に維持することが,人間の働きに含まれてくる必要が未来のために欠かせない理由となった。
いまでは,人為化人工化された日本列島では断片的にしか残っていないが,世界的には,アフリカや中南米,極地などには今でも,自然の法則性が主導的な生態系は残っており,また海洋もその可能性のある地域は残されている。
倫理的な見地から,「人間も自然の一部にすぎない」という戒めは評価できるが,人間はやはり単なる一種,あるいは一つの優占種以上の自然を変える存在であるのだから,自己規制を含めて,自然生態系を「自然」のままに保存するための人間の社会的営み−社会化のしかたで,これらを守る必要があることを強調したい。
新たな高次の調和の出現である。
野生動植物が,失われゆく,あるいは病んでいる自然界を表象し,それを推進する人間活動が自然の必要さを痛感しない人間をつくる。
開発が開発を推進する人間をつくり,この傾向が常に多数である社会的動向を再生産する。
一つの相互進化であるとみなすことができる。
社会を変えても人間はなかなか変わらなかった。
しかし,その社会は,システムなり構造であって,生活物資を人間(ヒト)が生産しそれで構成する「社会」ではなかった。
都市化は現代社会では農村地帯にも及んでいる。
わき目(?)を自然にふりむけることなく(またサイレント・スプリングの田園などで)子供たちは社会的文化的伝承行為である勉強に向かう。
環境教育も含め,従来の構造やワク組みの中でとらえられ,論じられていては,もはやこの動向を変えて地球を守り得ない。
地域的には野生動物の行動や気象変化など自然の持つ偶然性や美など,それを人間の生活環境の中に生かし続けるようにすること,地球規模では第三世界(それが既に階層分化が著しく,上層は旧来の先進国の価値に顔を向けているが)内の地球的緑地のような自然生態系を保全することに,全世界が取り組まねばならない。
例えば先進国は資金やマンパワーを提供し,その武力は密猟の制圧やそのためのパトロールなどに使ってはどうか、保護区域を絶対的に自然の過程に委ねるには,周辺や緩衝地帯のありかたが決定的に重要である。
このありかたを,著者は自然の側からの第三世界内の問題とし,「第四世界論」を築くべきだと考えている。
自然,野生動植物との共存の文化的社会,これまで社会科学ではまともにこうした課題は研究の対象にならなかったのではあるまいか.第四世界では,先住民中心の現代の社会経済を組み込んだ上に,自然の生態的あるいは自然史的な維持過程,生物多様性の本来的な維持と真に現代的なサステイナブルな利用と(現在よく利用推進側で巧みに修飾されている「利用するための保護と管理」とは異質の)が実現される必要がある。
この正否が野生生物と自然の今後にとっての基本的課題だと信ずる。
なお,いくつか本論で提起した論題は全て環境経済・政策と人間・生態学などとの共通の理論的検討課題となるように思われる。
なお,今回中途半端にふれることを避けたが,論者は人間(ヒト)にとって自然な環境とはという論題が主要な関心事であり(たとえば『人(ヒト)に成る』( O 書店,1985年)),この点で貴学会員から示唆を受けたく,その機会を得たいと念じている。
自然生態系の保全なぜ,なにを,どのように環境庁の示した環境基本計画は,その4本柱の筆頭に「自然との共生」をかかげている。
総論としてそれに反対する人はほとんどいないが,都会育ちの人々には,まったく無人の自然のなかに放り出されたとき不安を感じる人も少なくないだろう。
しかし,緑ときれいな空気にあふれた風景に心の安らぎをおぼえない人は,ほとんどいない。
森林の生活者サルを祖先にもち,かつては他の動物と変わりなく自然の生態系に依存して生活していた人類の遺伝子のなかには,自然からの情報に安らぎを感じる性質が組みこまれているのかもしれない。
だとすれば,それだけでも自然は守るに値する。
しかし,経済成長や開発と環境との間のトレードオフに日々せまられている現代の生活のなかで,自然の保護・保全を政策の最優先課題の1つとするには,もっとさしせまった理由があると人々は感じている。
それはなにか.1992年の国連環境開発会議(いわゆる地球サミット)で採択され,すでに発効した生物多様性条約は,その重要な理由の1つにスポット・ライトをあて,それがきっかけとなって,生物多様性はにわかに世界の大きな話題になっている(堂本,1995).とくに日本では,生物多様性を守ることが自然の保全のすべてであるような風潮さえ生まれた。
あとでふれるように,理想的に生物多様性を守ろうとすれば,きわめて広範な自然全体の保全が必要になるので,多様性の保全だけを追求しても自然保護の目的は達成されるかもしれない。
しかし,それだけでは,自然を守る必要性の理由づけとしては十分とはいえない。
自然環境の安定・維持機構として生物多様性の保持とならんで,自然の生態系が演じている巨大な役割は,その存在が地球上の環境を維持し,安定させている働きである。
自然の大規模な破壊は,その地域の自然環境を変化させ不安定にするばかりでなく,他の地域へも大きな影響を及ぼすであろう。
それは,アマゾンやコンゴーの熱帯林を裸地に変えたとき,きわめて広い範囲に温度や雨量の変化が誘発されるというシミュレーション研究から推察できる。
植物によって密におおわれた地面は,雨水の地中への浸透をよくし,表面流出を少なくして川水の流量を安定させる一方で,裸地にくらべて2倍もの水を地中から大気へ蒸発させる。
したがって,植生の破壊が水文循環を大きく変化させ,洪水・渇水災害をふやすことは常識となっている。
また,植物群落による大量の水の蒸発は,地表面が吸収した太陽放射エネルギーの60〜70%を潜熱化し,それは水蒸気とともに上空に運ばれて,そこで雲となるとき凝結熱として放出される。
地表ちかくを冷やし上空を暖める。
この過程が減少すれば,気候に変化がおこることも容易に理解できよう。
概算してみると,陸地上に落ちた降水の半分以上が植物体をへて大気に還っていると推定される。
植物群落の働きの規模がいかに大きいかがうかがわれる。
森林を筆頭とする自然生態系が,大気中に二酸化炭素として存在するのと同程度の量の炭素を,植物体や土壌有機物の形で蓄積しており,急激な森林の破壊が大気の二酸化炭素濃度の増大を通じて地球温暖化に大きな影響をおよぼすことも,いまではよく理解されるようになった。
炭素のように大量ではないが,生物や人間の生活にとって必須の,あるいは有害な多くの物質の地球化学的循環もまた植物に依存するところが大きいし,有機物の合成,土壌の形成,大気組成・水質への影響など,植物の働きは地域環境・地球環境のあらゆる面にかかわっている。
ただし,植物は生物のうちもっとも大量に存在するためにその働きが目だつけれども,じつは植物は共存する無数の動物や微生物の活動がなければ生存できないので,植物の働きとは生態系という全生物のシステムの働きそのものであることを知る必要がある。
地球上の自然環境は,このような生態系の働きを前提として成り立っている。
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